ブラームス/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77 (J. Brahms : Violin Concerto in D major, Op.77) |
ブラームスのヴァイオリン協奏曲は、19世紀のこのジャンルではベートーヴェンの作品と並ぶ大作でございます。
着想は1877年、第2交響曲とほぼ同時期と見られますが、本格的な作曲は翌1878年の夏のことで、友人の大ヴァイオリニスト、ヨアヒム(Joseph Joachim;1831〜1907)に助言を受けながら筆を進めました。当初はスケルツォを含む4つの楽章で構成されるはずでしたが、11月になるとその構想を破棄し、新規にアダージョ楽章を書き上げました。 初演は1879年1月1日、ライプツィヒでヨアヒムの独奏、ブラームス指揮のゲヴァントハウス管弦楽団によって行われました。ブラームス自身は初演が失敗に終わるのではないかと危惧していたそうですが、結果は大成功で、その後も世界各地で演奏され、今日でもこのジャンルの代表的作品としての地位を保ち続けております。 ブラームスのヴァイオリン協奏曲は同時代の同種の作品と比較して著しくシンフォニックであり、例えばラロの「スペイン交響曲」(1874年作)やチャイコフスキーの曲(1878年作)がエキゾティズムやメロディアスな魅力に満ちているのに対して極めて重厚な姿をしております。チャイコフスキーなどは非常に批判的で、メック夫人に宛てた手紙では以下のようなことを書いております。 「ブラームスのヴァイオリン協奏曲は、彼の作品中もっとも好ましくないものです。その音楽には真の感情による温かみがなく、詩情に欠けている半面、深刻さが強調されています。しかし、その深みの中には何もありません。例えば、この協奏曲の冒頭は、立派で美しい台座を思わせますが、その台座の上に柱が築かれることはなく、すぐに次の台座、また次の台座という具合に進みます。彼は何もいわず、欠片をつなぎ合わせることで音楽を捏ね上げています。そこには確固たる存在感、色彩感、生命力が欠如しています」(1880年3月1日) 相当にボロクソな批判ですが、今日の目からすると違和感が拭えません。このヴァイオリン協奏曲は、ブラームスの作品としては第2交響曲に共通する豊かな楽想や詩情に満ちた音楽に思えるからでございます。 曲は3つの楽章で構成されており、第1楽章は第1ピアノ協奏曲にも見られた第2主題の提示を欠く独特な管弦楽提示部をもつ大規模な協奏的ソナタ形式、第2楽章はこじんまりとした三部形式、終楽章はハンガリー風味に彩られたロンド形式で書かれております。
ここでは、この協奏曲をピアノ連弾の形でやっております。 |
(2025.4.13〜4.19) |
![]() ![]() | |
![]() | |
![]() ![]() | |
![]() ![]() (III. AAllegro giocoso ma non troppo vivace) | |
◇「ブラームス/協奏曲全集」に戻ります◇ | |
![]() | |
◇編曲・MIDIデータ作成:Jun-T ◇録音:jimma |