◇「ボリス・ゴドゥノフ」第2幕のあらすじ◇
文中、この色で表示されておりますのは、オペラの中の主要人物でございます。

クレムリン宮殿内のボリスの居間でございます。

ボリスの娘クセーニアが、死んでしまった婚約者を偲ぶ歌を歌っております。
乳母と弟のフョードルが、二人でクセーニアの気を晴らそうと陽気に騒いでいるところへ、ボリスが入ってまいります。
ボリスは娘と息子それぞれに優しく言葉をかけます。いいお父さんですねぇ^^
この場面で歌われるのが有名なアリア「私は最高の権力を得た」でございます。良心の呵責に苦しむボリスの心象が浮き彫りにされるシーンでございます。

そこへ、緊急報告を携えたシュイスキー公が登場いたします。
ちなみに、このシュイスキー公という人物は、ボリスの部下ではございますが、その実アンチ・ボリス勢力の中心人物でございまして、隙あらばボリスの政権をひっくり返してやろうと虎視眈々と狙っている、いわば獅子身中の虫なのでございますね。

さて、シュイスキー公の報告と申しますのは、死んだはずの皇太子ディミトリーがポーランド軍を後ろ盾としてリトアニア国境に迫っている、というものでございました。
ショックを受けたボリスは、人払いをすると、シュイスキー公に「まちがいなく皇太子は死んだのか?」と糾します。
そこで、皇太子殺害の顛末を語り始めるシュイスキー公。話が皇太子の喉の傷口の描写に及んだとき、良心の呵責に押しつぶされたボリスは錯乱いたします。

ここは「時計の場」ともいわれる場面でして、大時計の時を告げる音とボリスの心象風景とが交錯し、たいへんにスリリングな心理描写となっております。
いやはや、ムソルグスキーという人はやはり天才でございますねぇ。

ディミトリーの亡霊に怯え、神に赦しを乞うボリス。ここで幕となるのでございます。

(2009.1.10/Jun-T)
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