◇「ボリス・ゴドゥノフ」プロローグのあらすじ◇
文中、この色で表示されておりますのは、オペラの中の主要人物でございます。

このオペラには第1幕に先立ちまして、2場から成る「プロローグ」が付いております。
「プロローグ」というものがありますと、なんだかスケールが大きそうに見えますね。そういえば、ボロディンのオペラ「イーゴリ公」にも「プロローグ」がございます。
こういうのを付けるのが流行だったんでございましょうかね?

さて、第1場はノヴォデヴィチ修道院の裏庭です。

修道院に引きこもっているボリスに皇帝即位を歎願するため、民衆が集まっております。
しかしながら、ここに集まっております民衆は、警吏によって無理やり集められた人々で、決して自発的にボリスの戴冠を望んでいるわけではございません。まぁ、ヤラセとでも申しましょうか。
ともかくこの場面で、帝位に就くためのボリスの画策が、観客の前に明らかになるわけでございます。

第2場は、有名な「戴冠式の場」でございます。

クレムリン宮殿前の広場に群衆が集まり、新皇帝ボリスを讃えます。
シュイスキー公の先導で、賛歌の中をボリス登場。しかし、どうやら新皇帝は憂鬱そうでございます。
それもそのはず、このオペラでは、ボリスは帝位に就くための手段として、皇太子ディミトリーを暗殺した殺人者という設定になっているのでございます。もっとも、直接に手を下したのは部下のシュイスキー公なのですが、目的を達成した今になって、ボリスは良心の呵責にさいなまれ始めているのでありました。
このあたり、殺人を決行するまでは強気だったにもかかわらず、やった後は急に弱気になってしまった「罪と罰」のラスコーリニコフ君を連想させますね^^

(2004.1.1〜1.30, 2010.11.28〜12.9/Jun-T)
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