ブルックナー/交響曲全集 (A. Bruckner : The Complete Symphonies) |
ブルックナーは習作も含めると11曲の交響曲を書いておりますが、番号の付いたものは(第0番も含めて)全部で10曲残しております。これら番号付き交響曲を、初稿の完成時期で分類すると、おおよそ以下のようになるかと存じます。 |
【初期:作曲者42歳〜49歳】 第1番ハ短調(1866年)/第0番ニ短調(1869年)/第2番ハ短調(1872年)/第3番ニ短調(1873年) 【中期:作曲者50歳〜57歳】 第4番変ホ長調「ロマンティック」(1874年)/第5番変ロ長調(1876年)/第6番イ長調(1881年) 【後期:作曲者59歳〜72歳】 第7番ホ長調(1883年)/第8番ハ短調(1887年)/第9番ニ短調(1896年、未完成) |
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よく知られておりますように、ブルックナーは作品の完成後、しばしば改訂を施し、その結果として多くの交響曲に複数の版が存在するため、細かく見ればいろいろと面倒な話になるのですが、ここではそれらをひとまず脇に置いて、ごく大雑把なことを申し上げます。
ブルックナーの交響曲は、基本的には伝統的な4楽章構成に従っており、両端楽章は概ねソナタ形式、中間には緩徐楽章とスケルツォを配するという点で、「ワンパターン」などと評されるように、外見上は画一的に思えます。 第1番から第3番までの、第0番を含む4曲の初期交響曲では、ブルックナーは自らのスタイルを確立することに腐心していたように思えます。ブルックナーのトレードマークとされる「原始霧」、すなわちトレモロを背景に主題が浮かび上がってくるいわゆる「ブルックナー開始」は、初期の交響曲には見られません(しいていえば第2番がこれに近い)。また、全般的に冒頭楽章に比べて終楽章の比重が相対的に小さく、バランス面では頭でっかちな印象を与えるのも初期交響曲の特徴でございます。
中期交響曲で、ブルックナーのスタイルは完全に確立されます。
後期交響曲の第1作は第7番。この曲で、ブルックナーはついに真の成功を手にします。
「あそびの音楽館」では、ブルックナーの番号付き交響曲のすべてを、ピアノでやってみることにいたしました。オーケストラの豊穣な響きに対してモノクロームなピアノの音色ではその魅力が激減することは明らかですが、興味をもってくださる方がひとりでもあれば本望でございます。 |
(2012.12.4〜) |