アーン/アイルランドの歌による3つの前奏曲
(R. Hahn : Trois Prèludes des airs populaires irlandais)

この曲は1894年、20歳の年に出版されたアーン最初の連弾作品ですが、神童であったアーンはすでに作曲家デビューから5年、とりわけ歌曲によって高い名声を得ておりました。
当時、アーンが交際した友人の中にオーガスタ・オルメス(Augusta Holmès;1847〜1903)という年長の女性がおりました。この人はフランクに師事したアイルランド系の作曲家で、歌曲の分野では著名人でした。
アーンはこの女性に献呈する作品として、素材にアイルランドのメロディを用いたわけでございます。

アーンの利用した旋律は、以下の3つとなります。
第1曲「小さな紅いひばり」
愛する人との別れを歌っており、小さな紅いヒバリが歌いながら飛び立つ様子を描いたアイルランド民謡。
第2曲「私の愛するアービュタス」
アイルランドの詩人グレイヴズ(Alfred Perceval Graves;1841〜1931)の詩にスタンフォード(Charles Villiers Stanford;1852〜1924)が作曲したもので、古謡に基づくもの。恋人の人生をアービュタス(イチゴノキ)に仮託した内容。
第3曲「柳の木」
アイルランド民謡ですが、その音楽や歌詞には種々多様なヴァージョンが存在するようです。

アーンの用いた手法は非常にシンプルで、3つの前奏曲はいずれも短い曲ですが、そこには郷愁を含んだ魅力も感じられます。
多少なりともお楽しみいただければ幸甚です。


第1曲/小さな紅いひばり(I. The little red Lark) 
第2曲/私の愛するアービュタス(II. My Love's an Arbutus) 
第3曲/柳の木(III. The Willow - Tree) 

アイルランドの歌による3つの前奏曲・全曲連続再生 

◇「あそびのピアノ連弾」に戻ります◇
◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma